いよいよ辞任です。もと建設会社社長、その前は政治家として活動していたフロレンティーノ・ペレス。レアル・マドリッドの会長として2004年に圧倒的な支持で再選されたのですが、週末のマジョルカ戦敗戦をきっかけに任期途中での辞任を決意したということ。
彼の一番の功績は、2億7000万ユーロ、およそ250億円以上にのぼるクラブの負債を、市の中心部にあったトレーニング場をマドリッド市に売りつけて完済したことなんですけど、むしろ戦術なき有名選手獲得路線の中心的な存在としての方が有名かもしれませんね。彼と同じくらい短期間でクラブに大金をかけたのは、アブラモビッチくらいでしょうか。辞任記者会見では、有名選手を集める自分のポリシーは間違ってなかったと言い張ってますが、「選手たちが勘違いしてしまったようだ・・・教育に失敗したかも」と認めてます。
まあ、これでバルサが下位にいれば、まだいいんだろうけれど、ここまで見事に再生されてしまっては、もう言い訳ができないといったところか。彼が会長を務めていた期間にはデル・ボスケ、ケイロス、カマチョ、レモン、ルシェンブルゴがクビ、ついでにアリゴ・サッキ強化部長が個人的な理由で辞任しています。
クラブは末期的な症状だったが、だれもがその原因だと感じていた人物がようやくいなくなることで、レアル・マドリッドは上昇を始めるのか。できれば、そんな時期にジダンのピークを見たかったなあ。
Perez
Chelsea-Barcelona
主審のレベルの低さを指摘する声も多いけれども、それを差し引いても楽しめるゲーム。サッカーを見ていて鳥肌が立ったのは、昨シーズンのCLファイナル以来だった。ビッグネーム同士のマッチはとくにイタリアのクラブが入ると、凡庸な試合になることがままあるけど、この組み合わせは期待に違わぬ面白い内容を見せてくれましたねえ。
言わずもがなですが、メッシの活躍には目を見張るものがありました。デルオルノはほとんどファウルでしか止められない状況で、これはギャラスがいても同じだったでしょう。マラドーナも「あいつは俺に似てる」とメッシを絶賛しているみたいですが、確かに彼がボールを持つと楽しいんです、これってスゴイことだと思う。
モウリーニョ監督がカンプノウには2軍で行くと言った・・・などという噂も出てますが、もうそれくらいあきらめてるということかもね。
バルサはこの試合のあと、先週末のリーガで、カウンターに徹したサラゴサ相手にかなり手を焼いてました。ところが後半、エトーに対する観客からの人種差別発言をきっかけに、サラゴサのリズムが完全に崩れたところに、PK、そしてラーションのゴールと立て続けのゴールを挙げ勝利。後味はあまりよくないけど、CL直後のこの勝利はバルサのモチベーションの高さ、調子のよさを示していると思いました。ただ、ロナウジーニョがケガで交代していたのだけが気になるけど。
チェルシー戦に続いて、ラーション投入で得点を挙げるというパターンでした。つくづくラーションもスゴイです。スウェーデンに帰ってしまうのがもったいない。
uefa.com - UEFA Champions League - Fixtures & Results
Japan 6 - 0 India
特に前半に関しては、「インドごときにこんな攻めあぐねていては、W杯が思いやられる!」という輩もいるでしょうが、こんなにもプレッシャーの緩い相手では、あまりW杯の参考にはなりません。代表合宿でよくやるような、高校生相手に連携を確かめるレベルの試合だと言っても良いでしょう。
そういう意味で、長谷部や巻などの新しい選手がいろんなパターンの連携を見せていたことはとても良かったと個人的には思います。特に長谷部は、攻めでも守りでも積極的にボールに絡み、見ていてかなり気持ちよかったです。結局は巻のゴールとして記録された得点も、完全に長谷部の得点です。でも、巻もゴールという結果に充分値する活躍をしたと思います。
佐藤寿も1ゴール1アシストと、周りとの良い連携をアピールしました。でも、アメリカ戦では活躍できなかったこともあるので、ヨーロッパのチームの厳しいプレッシャーの中でも同じように絡めるかどうか、もう少し見極めたいところです。久保の1点目は佐藤のアシストでしたが、前がかりになったキーパーの動きをよく見て柔らかいタッチで頭を越す真骨頂久保的なゴールでした。
攻めきれなかった前半に関しては、「もう少しこうすればいいのに!」と思ったポイントがいくつかありました。一つめは、アレックスと加地が中に切れ込んでフリーなのに中途半端なセンタリングを上げてしまう場面が多かったこと。そこでシュートという選択肢を見せておけば、相手は当たりに来ざるを得ないし、その分センターにスペースが生まれるので、より確率の高いセンタリングを上げられることになります。そんなことを思いながら後半を見ていたら、アレックスがかなり良いロングシュートを3-4本打っていたので、今後に期待します。
それにしてもアレックスはセンタリングの正確さがイマイチ。フリーで上げているのに、まっすぐ相手に行ってしまう率が高すぎ! 確かに、何本か本当に素晴らしいセンタリングも上げていましたが。加地ももう一歩がんばれ、という感じ。
アレックスに関してもう一つ気になったのは、左足に頼りすぎること。守る側としては、右足を気にしなくてもいいので、すごくやりやすいはず。1本でも右足で良いセンタリングを見せればDFに迷いが生じるので、左足のセンタリングもより活きるようになると思うんだけどなぁ。
さて、ヨーロッパ組が合流するボスニア・ヘルツェゴビナ戦では新戦力の中から誰か残るのか? 長谷部と巻は十分にヨーロッパ組との連携を試すに値すると思うんですが、果たしてジーコの判断はいかに?
Wembley Stadium
いま、イギリスではFAカップの決勝が新装ウェンブリー・スタジアムではなくなって大事件のようです。もともと「サッカーの聖地」みたいなところで、イングランド代表の試合が良く行なわれていて、ケビン・キーガン監督のときにドイツに負けたのが改装前の最後の代表戦だったり、そのあとキーガンが辞めちゃったり、なんだかお金もすごくかかることになっちまったり、イングランド人の誇りであると同時に、困ったチャンでもあるようです。まあ、みんなサッカー好きだからいいんだろうけど。日本だとやはり国立霞ヶ丘競技場になるのでしょうかねえ。
結局、今回のFAカップ決勝は前回と同じ、カーディフのミレニアム・スタジアムになるそうです。
Wembley dropped for FA Cup final
Japan 2 - 0 Finland
ヒーピアいないなと思っていたら、この試合のすぐ後にあったFA杯のリバプール対マンU戦に出てました(笑)そりゃ来ないですね…いい動きしていました。
仮想クロアチア戦だったようですが、お互いベストメンバーじゃなかったこともあり試合そのものが面白い、つまらないというよりは一人一人のプレーを見るような試合でした。ジーコも言っていましたが、メンバーが揃っての連携が見られる試合が本当少ないですよね…
小野は徐々に試合勘をとり戻す時期とジーコは位置づけてると思います。ボランチは相手が福西だとバランスが取れてる気がしますが、稲本が来たらどう変わるのでしょうか。稲本は相手が小野だとちょっと萎縮する印象があるのです。個人的に遠藤も好きなのですが…というようなことを、これから数ヶ月たくさんの人が試行錯誤する時期がまた来たのだなと思いました(笑):smile:
リバプールが若干20歳のアルゼンチン・プレーヤーと契約したと発表してます。BBCの写真ではとても20歳とは思えない怖い顔。センターバックのために生まれてきた男がアンフィールドへやって来る、かもしれない。
Star Soccer
楽天が出しているサッカー雑誌「スターサッカー」では、元Rockin’ Onの鹿野編集長が大量の記事を書き倒している。ほんとうに半端じゃない紙面が彼の原稿によって埋められている。まずそのエネルギーに圧倒されてしまう。
わたし自身は、あまりサッカー雑誌を買って読んだことがなく、比較ができないのだけれども、マーケティングも含めた広範囲なサッカー・カルチャーの宣伝効果を狙っているような気がした。悪い意味ではなく、これまでRockin’ On誌は読んでいたけれども、サッカーには興味のなかったUKロック・ファンが新たに市場に組み込まれるのに手を貸すことができるし、それによって、サッカーの市場価値が上がると思うのだが。
内容的にはUKのミュージシャン、来日していたリバプール選手へのインタビューのほか、歴史をひもとく記事や、日本のスタジアムでの食事情、そのほかおバカな記事も細かくちりばめられて、肩肘張らず、適当に楽しもう!という雰囲気を醸し出している。サッカー雑誌として、わたしの印象に残っているのは、「Champions」(最近は日本語版もコンビニで買えたりする)ですが、それには当然及ばないものの、同じようにカッコよくてユーモアが感じられる・・・ような気がした。
STAR SOCCER
Rangers 0-1 Celtic
俊輔は古傷の再発で出場しませんでした。毎年この時期は故障が来る気がします。どこかで休むべきだったと思いますが、ダービーに当たってしまったのは残念でした。
キーンは前試合から復帰しました。ポジションは中盤でしたが、CBの時とは別人のように生き生きしてました:smile: 味方を叱咤するシーンがあり「こういう表情のキーンは久しぶりに見ましたね」と解説に言われていて、感慨深かったです。ファウルやカードも含めて、考えられた意図のあるプレーをする印象をうけました。まさにプレーでチームを引っ張るというか…マンチェスター時代もこうだったのでしょうか。ダービーのような独特の雰囲気の試合では、一層存在感を感じます。すっかり馴染んでますね!
USA 3 - 2 Japan
得点だけ見れば接戦ですが、内容は惨敗でした。
中盤は圧倒的に支配されてしまっていました。
後半は少し巻き返しましたが、それは相手が疲れて運動量が落ちたから。
課題がいっぱい見えた試合でした。
アメリカの得点はどれもきれいでしたね。
1点はCKのディフェンスで中澤が足を滑らせてマークを振り切られたものだったのである程度しょうがないのかも知れませんが、滑りやすいピッチに日本はなかなか慣れなかったようです。
残りの2点は、長身のフォワードにロングボールを当て、ボールを落としたところに走り込んできた選手がシュートしたのと、ペナルティエリアのすぐ外できれいなワンツーを決めたのと、いずれも教科書に出てくるような崩し方。
気になったのは、日本代表のボールの取られ方の悪いこと。日本がDFやMFでボールを回しあぐねているところをカットされて、あっという間にシュートまで持ち込まれる場面があまりにも多い試合でした。たぶん20本近くシュートを打たれたんじゃないかな? アメリカは今年に入って4戦目、日本はまだ初戦とコンディションの差があるにせよ、安易に取られすぎだし、取られた後も簡単にチャンスを作られすぎ。それだけアメリカもボールを奪ってからの連携が素晴らしかったということもありますが。
コンフェデでしたっけ? メキシコと対戦した時も似たようなパターンだったと思います。今のジャパンは組織で連携してボールを奪い取り、パスを回してくるチームに対して弱いということが改めて明らかになったように思います。このことを解消するためには、日本もDFから前線にボールが回るまでの約束事をいくつか作った方が良いと思うんですがねぇ。特に前半は久保のワントップでしたが、ほとんどボールが回らず、機能しませんでした。相次ぐピンチを凌いで日本のDFがボールを奪い取っても、周りの動きだしが悪いのでパスの出しどころがなく、結局悪い位置でボールを逆に奪い返されてまたピンチ、という場面のオンパレードでした。
両サイドはかなり相手にやられていましたね。加地もそうですが、アレックスが本当に良くなかった(まあ、良いことは少ないのですが)。後半こそは何回は良い攻め上がりをしたのですが、自陣ではかなり状況判断の悪いパスからピンチを招くシーンが目立ちました。個人的には、なぜ「安定して状況判断の悪い」アレックスがいつまでも使われ続けるのか理解に苦しみます。確かに攻めで光ることは時々あるのですが、守りでは大きなポカばかり。三浦敦の方が安心して見ていられるんだけどなぁ。
明るい材料では、後半から出場の巻がなかなか良い動きを見せて得点をしたのと、長谷部も結構積極的で良かったと思います。でも、ヨーロッパ組を押さえるほどの説得力があるかどうかは微妙かな。佐藤寿は期待していたんですが、もう一つボールに絡めなかったですね。
先日のnozacさんの韓国についての書き込みにも書いてありましたが、日本代表、もう少し連携を高めるために試合が必要かも。
アフリカNo.1を決めるネーションズ・カップ決勝、ホスト国エジプト対コート・ジボアールは、PK戦までもつれ込んだ末、エジプトが5度目の優勝を決めました。コート・ジボアールは最初のキッカー、キャプテンのドログバが痛恨のミス。エジプトのGKアル・ハダリにはじかれ、その後もBakary Koneが外す一方、エジプトは3人目のAbdel Halim Ali以外は全員が決めて勝負あり。
ドログバのPKミスに関しては、コート・ジボアール代表のアンリ・ミシェル監督も、「ドログバが決めていたら、勝てた」とコメントするぐらいのインパクトだったようです。過去にもジーコ、プラティニ、バッジョといった名選手たちが大舞台でPKを失敗して、その影響でチームが敗退しているという印象がありますが、肝のプレーヤーが決めるのは本当に大事なんですね。
ちなみに今大会の記念すべき初ゴールを決めたものの、選手交代をめぐって監督とケンカ、自国サッカー協会から出場停止、その後解除という処分を受けたエジプト代表のミドは結局スタンドから観戦してましたね。この優勝は彼にとって微妙な記憶になると思いますが・・・
印象に残ったのはコート・ジボアールのサッカーでした、まるでゴムまりのような体の選手が縦横無尽に走り回っている感じで、テクニック、フィジカル、スピードなどヨーロッパのチームと見紛うようなスーパーな状態でドイツに来ることになれば、グループCは大変楽しい予選リーグになりそうですね。できれば開幕戦でドイツを破るとか、派手なW杯デビューを見たかったなあ。
Africa Cup of Nations Official site
先日、某FM局のサッカー好き報道アナウンサーにオーストラリア代表にニースケンスがアシスタント・コーチで入った、という話をしたら、「えーっ、もう勝てないじゃないっすかあ?」と言われました。
わたしはニースケンスがどれだけスゴイのか、それほど分かってなかったので、調べると、確かに。以前にもヒディンクとともにオランダ代表を率いてW杯ベスト4、2年後にはライカールト監督とコンビを組み、ユーロで同じくベスト4なんですね。ヒディンクはその後も韓国代表でベスト4、母国でPSVを率いてリーグ優勝、CLでACミランと死闘を演じるなど、その手腕は素人の私から見ても素晴しい、次期イングランド代表監督に名前が挙がるのも納得です。
ただ、今回のW杯はクラブの監督と兼任ということで、チャンピオンズ・リーグでPSVが決勝まで行った場合(あり得なくない)、準備がきちんとできるかどうか。さらに代表の試合日程をチェックすると、ドイツまではたった2試合。しかも、バーレーンとギリシャ。大丈夫なのか、サッカルー・・・というわけで、不安になったヒディンクは伝説のニースケンスを呼び寄せたのですね、多分。
DUTCH LEGEND APPOINTED TO QANTAS SOCCEROOS COACHING STAFF
Johan Neeskens - Wikipedia, the free encyclopedia
サラゴサがレアル・マドリを粉砕ですよ。
けさロイターの速報をみて驚きました、6対1です。最近は調子を戻しているといわれていたレアルですが、カップ戦を得意とするサラゴサにはまるで歯が立たなかった模様。サラゴサは準々決勝でバルサを下した勢いが続いているようです。
調べてみると、2001-02シーズン以外、ほとんどプリメラでやっていて、国王杯では過去6回も優勝しているサラゴサ。ただリーガでは2位が最高の成績。シーズンを通じて力を維持するのが難しいといったところか。
過去に所属していた有名選手としては、ホルヘ・バルダーノ、ライカールト、カフー、キリ・ゴンザレス、モリエンテスなどの名前が並んでいます。なかなか渋いラインナップですね。
そういえば、私がはじめて観戦したスペインでの試合が国王杯のアトレティコ・マドリ対サラゴサでした、ちょうど10年前。
ESPNsoccernet.com - Europe - Zaragoza demolish Real Madrid 6-1 in Cup semi-final
Wikipedia: Real Zaragoza
よくよく見返したら、この記事を最初に書くと宣言したのは去年の7月でしたね:oops:。いやはや、かたじけない。長くなりますが、よければおつきあい下さい。
さて、ジーコ現監督の就任当初からよく言われていることですが、前任のトルシエとはかなり対照的なスタイルです。トルシエはとにかくチームとしての「約束事」にうるさく、プレーヤーが約束事を守るように徹底して反復練習を繰り返しました。これに対し、ジーコは決まり事をほとんど作らず、選手達の「自主性」を重んじると言われます。このことは周知の事実ですが、実は私が取り組んでいる心理学のモチベーション研究的には、トルシエからジーコに監督が引き継がれたことは非常に良い人選だと考えられます。
心理学のモチベーション研究には、2つの大きな流れがあると言えます。一つめは、「パブロフの犬」で有名な「条件付け」をベースにした理論です。「行動主義」と呼ばれるこの学派は、行動が起きるためには、何かきっかけとなる刺激が必要だと想定します。パブロフの犬は、餌を与える時にベルを鳴らすと、そのうちベルを鳴らすだけでも犬はヨダレを垂らすようになるという古典的な実験ですが、それと同様に、人間も何か行動を起こさせようとする場合は何かしら「刺激」を与えなければ、その行動には取り組まないということです。トルシエ監督の場合は、「刺激」=「怒ること」で選手の「行動」=「約束事のサッカー」を引きだそうとしていたと言えます。かなり端折って単純化しましたが、要は「決められた行動をしないと、罰せられる」ことがモチベーションになると言うことです。罰することだけでなく、褒めたり、賞品を与えて行動を引き出そうとしたりする考え方も行動主義的な考え方に基づいていると言えます。
もう一つのモチベーション理論の流れは、行動主義とは真っ向から対立します。「人間中心主義」と呼ばれるこの考え方では、「最善の行動は外から課せられるのではなく、内から湧き出る内発的なものだ」と想定します。この理論では、報酬や罰を与えると、人間がそもそも持っている自主性や内発性が損なわれてしまうとされており、実験によって報酬や罰が自主性を損なうことを示す結果もかなり報告されています。人間中心主義的な考え方では、報酬や罰は、その場では一時的に行動の生起を促すものの、それは「自主的にやっているのではなく、やらされている」ために長続きしないとされています。ジーコは、人間中心主義的スタイルの強い監督だと言えるでしょう。
後者の理論の方がよりキャッチーであるため、人気は高いのですが、一方で教育現場などではかなり不評です。例えば学校の先生方にこの理論のことを話すと、「自主的に勉強をやらせても、やる訳がない。机上の空論だ!」と言われるのが関の山です。ジーコの例でも、結果が出ない時期は「ちゃんと指導しろ!」と辞任論が高まりました。
では、どちらの立場が正しいのか? 私は、両方とも考え方は合っているものの、対象によってアプローチを使い分けなければならないという仮説を持っています。これは、学会的にもまだ新しい考え方ですし、私もこの理論を裏付けるデータをこれから集めなければなりませんが、割と自信を持って主張している理論です。
アメリカでは、いわゆる問題校や刑務所で行動主義的なプログラム(賞品を与えながら勉強や作業に取り組ませるもの)が多く展開されており、成功が報告されています。しかし一方で、一般の高校や大学以上で行動主義的なプログラムのことはまず聞きません。つまり、自分を律することに問題を抱える対象に対しては有効なアプローチだと考えることができるのです。
一方、人間中心主義的な立場の研究のほとんどは、一般の高校生や大学生を被験者として行われることがほとんどで、そのことから「自律性を重んじるのが一番」という結論が導かれています。つまり、自己を律することに問題のある対象でもこの結論が当てはまるのかどうか、大いに疑問です。
これらのことからは、課題をこなす能力を十分に有しない者に対しては「厳しく律するアプローチ」が有効であり、能力を既に持っている者は「自主性」を引き出すことで能力が最も伸びるとの仮説が導くことができます。(ここもかなり端折って書いているので、ちょっと強引ですが)
さて、話をサッカー日本代表に戻しましょう。トルシエが就任した当初、日本代表はフランスW杯には出場していたものの、国際的にはまだまだのレベルでした。海外でプレーする選手も少ないだけでなく、国内でのプレーに満足してしまっているような風潮もあったと憶えています。トルシエは鉄拳制裁で選手の甘えを断じ、国際的にトップレベルで競うための規律をたたき込んでくれたと言えると思います。彼のアフリカでの実績からしても、規律に甘いチームに信頼された時に成果が出ていると思います。(信頼獲得に失敗すると、度々あるようにすぐ解任されてしまうことにもなりますが、、、)
日本代表はトルシエに国際レベルで戦うための規律をたたき込まれた上でジーコに指導が引き継がれた訳です。これまでは言われた通りにやるだけだった選手たちに、今度は自分で考えて行動することを求められました。トルシエに教え込まれた規律も確かに大事な基礎ですが、さらに上を目指すためには、プレーヤーが「アドリブ」を効かせることが必要だと言うことに異論はないでしょう。
このように、トルシエ>ジーコの順に就任させたことはかなり秀逸だと言えるのですが、日本協会はこのことを意図的にやっているのでしょうか? 就任前はジーコの代表監督としての手腕が未知数だったことを考えると、そこまでは意図せずにこうなっていると見るのが妥当だとは思いますが、Jリーグ発足以降の代表監督たち(オフト、加茂、岡田、トルシエ、ジーコ)を並べてみると、それぞれの時期に「代表がさらに一つ上を目指すため」に合っている人選をしているようにも見えます。私個人としては、川淵キャプテンの最近の言動から、彼が非常にサッカーを熟知していて国内リーグの運営や育成方針もしっかりしていると思わされる節があるので、いろいろと考えがあって長期的に育成しているように見えます。それだけに協会の外交力の弱いことが残念。
これに対し、隣の韓国や中国はその時その時で良い監督を呼んでいるのですが、国内リーグの状況を見ると必ずしも長期的なビジョンはそこまでないのではないかと思います。今のJリーグやユース育成の状況から見ても、日本代表は少なくともしばらくは安定して力を保てるのではないでしょうか。たとえ監督や強化試合の組まれ方がイマイチな状況が多少あったとしても。
韓国代表の準備ぶりが気になる、というか、うらやましい。
ヨーロッパ相手の試合をこなして8試合負けなし。香港で開催されていたカールズバーグ杯、文字通り日本のキリン・カップに当たるトーナメントで、デンマークに3対1で破れ、その記録が止まったものの、それまではアウェイでフィンランドに勝ち、ギリシャとドロー、ホームではクロアチア、セルビア・モンテネグロに勝って、スウェーデンとドローと素晴らしい仕上がりだと思います。アドボガート監督の力量なのだろうか。この後もアメリカに渡って、アメリカ代表、LAギャラクシー、コスタリカ代表、そして2月15日のメキシコ代表まで、みっちり試合を組んでいる。
かたや日本代表は、W杯までにわずか6試合。うち3試合が日本でのマッチ。インドとのマッチは問題外だと思うけれど、フィンランドにしてもヨーロッパの一線級が日本までわざわざやって来るとは思えないし、ドイツ、エクアドルもグループの対戦相手を考えると、もう少しほかの選択肢が欲しい、ボスニア・ヘルツェゴビナにしてもモチベーション的にどうなの?と思う。ドイツで戦うのに、まるでいつもと変らぬペース。ジーコ監督というネームバリューをもってしても、韓国とこれだけの差が出来ているのは、日本サッカー協会の非力さを思わざるを得ないなあ。
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Korea finishes its unbeaten streak against European teams at ‘8′.
